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2014/07/15
院外講習会 受講報告

457回臨床談話会



演題:歯周治療学の最前線  〜科学的根拠に基づく歯周病の理解〜


日時:
2014713()10:0013:00

講師:大阪大学 大学院歯学研究科 歯周病分子病態学 教授 村上伸也先生


会場:大阪大学歯学部記念会館(大阪大学吹田キャンパス内)


要旨:

歯周病は細菌バイオフィルムが原因となって発症・進行する慢性炎症性疾患です。
しかしながらその病気の理解を複雑にしている背景の一つとして、プラーク停滞因子のような局所因子や遺伝的要因や全身状態との関連等、様々な誘因の存在が挙げられます。従って、歯周病を理解するには、これらの原因や誘因がどのように歯周組織の破壊に関係しているのかを患者毎に詳細に理解する必要があります。

歯科の2大疾患の一つである歯周病が慢性感染病巣として遠隔の組織・臓器に影響を及ぼす可能性(歯性病巣感染)については、20世紀初頭にすでに指摘されていました。そして今、改めて歯周病と全身疾患・全身状態との関連が精力的に検討されるようになりました。
この学問領域は
Periodontal Medicine(歯周医学)とよばれ、歯周病菌による感染症の観点と、歯周組織における慢性炎症の観点から、多くの基礎研究と臨床研究が展開されています。歯周病と糖尿病の関係は、その中で最もよく研究されているテーマですが、新しい研究成果が日々発表される状況にあり、いつも良質で最新の医学的証拠に注意を払っておく必要があります。
また、歯周治療学における先端的研究の一つに、新規歯周組織再生療法の開発が挙げられます。我々の研究室では塩基性線維芽細胞増殖因子(FGF-2)とよばれるサイトカインを歯周外科時に局所投与することにより、投与部位での歯周組織再生を促進しようとする研究を継続しています。
このプロジェクトは現在、同製剤の有効性・安全性を評価する臨床試験の最終段階に到達しています。また、腹部皮下脂肪の中に存在する間葉系幹細胞(歯周組織を構成する細胞へと分化する能力があると期待されます)を歯周組織欠損部へ移植することにより歯周組織の再生を活性化しようとする臨床研究も我々の研究室で開始いたしました。

      《藤浪庸介》


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