演題:歯科金属アレルギーを考える
日時:2016年5月29日(日)10:00〜13:00
講師:大阪市開業 高 永和先生
会場:大阪大学歯学部記念会館
抄録
28年にFleischmannは,アマルガム中の水銀により口内炎と肛門周囲炎の症例を世界で初めて報告した。本邦では1972年中山らによる,アマルガム中の水銀による口腔扁平苔癬の症例が最初である。最近では,歯科医院のホームページでも盛んに歯科金属アレルギー治療について掲載している。しかし,未だに歯科金属アレルギー研究の多くは,具体的な治療に言及するものが少ない。つまり,治療方法に関して整備されたガイドラインはなく,治療現場では様々な方法が提示されており,その中にはエビデンスに乏しく不適切なものも少なくない。
われわれは、正確な診断による歯科金属アレルギー治療で,難治性皮膚疾患が改善することを報告した。また,純チタンインプラントによるアレルギー症例を,さらにアトピー性皮膚炎と歯科金属およびレジンアレルギーについても報告した。つまり,すべての歯科材料はアレルギーを起こす可能性があるということである。また,そのことを念頭に置いて,適切に治療を行えば,良好な結果が得られるということも示している。
世界最初の歯科金属アレルギーの報告から約80年、本邦での最初の報告から約40年経った今だからこそ、歯科金属アレルギー治療についてちゃんと考えてみたい。
参加:藤浪庸介