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2019/06/18
緩和ケアとターミナルケア

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当院に通院されておられるM様(6●歳)は、昨年6月のメンテナンスで来院された時、
N病院耳鼻科で左鼻根部骨肉腫と診断され、紹介された癌センターを受診されると話しておられました。

その後9月に来院された折には、H粒子線センターで加療を受けることになったということで、
予後の悪そうな歯牙の抜歯、金属修復物の撤去を依頼されました。

当院で加療後帰宅されましたが、それ以降連絡もなくどうしておられるのか気になっていたところ、
先日、約9ヶ月ぶりに、「現在入院中だが歯が痛いので往診をしてほしい」という依頼の電話がありました。

長年通院してくださっていた患者さんでもありますし、出来るなら伺いたいと思いましたが、

なにぶん入院しておられる病院が当院から車で30分余りかかること、又、当院の人的キャパシティが
超えていることなどの事情があり、今後、継続的な口腔ケアを行うには当院から往診に伺うことは難しく
近隣の歯科医院を紹介できるよう手配しようと考えました。

そのころ、入院先の主治医先生からも連絡があり、「現在の歯痛の原因は鼻部悪性腫瘍が浸潤した
ものと思われるが、当該部の歯が原因ではないか?歯痛の原因を診断の上、患者様に寄り添いながら
精神的サポートをして欲しい」とい
う依頼を受けました。

先述の理由もありましたが、当院がこれまでの経過を熟知していることやM様ご自身のご希望も
ありましたので、一度だけでも、衛生士と二人で往診することに致しました。

X-ray撮影をし、口腔内診査をしましたがカリエスは無く、歯痛の原因は入院先の主治医の所見通り鼻部の
病巣が原因と思われる状況でした。粒子線照射により口腔乾燥を引きおこし、痛みを誘発したのかも

知れないと考え口腔ケアを行いましたが、今後は当院が加療することはせず、近隣の先生に口腔ケアを
お願いしようと考えている旨をM様ならびに病院スタッフに伝え、往診を終えました。

後日、主治医先生から連絡があり、「M様はもう少ししたらご自宅に帰ることが出来ます」とのこと。
私の浅学から、「緩和ケア」というのは精神的な苦痛や疼痛除去を目的に癌の終末期に行われるもので、
緩和ケア病棟に入院しているということは、最後まで病棟におられると思っておりましたので、
退院し、自宅に帰られるということに非常に驚きました。
苦痛や疼痛除去を主たる目的としたものは「ターミナルケア」と言い、緩和ケアの概念の一部を占めたもの
だということを改めて勉強させて頂きました。
緩和ケアとは癌による身体的、精神的苦痛の除去をはじめ
患者様とご家族にとって出来うる限り
最高のQOLを実現するためのケアを意味しているとのことです。

M様も落ち着かれたらご自宅に帰られるそうですので、その折りには今まで通り是非当院で口腔ケアを
させて頂き、最後まで美味しく食事をして頂きたいと思いました。

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